大変お世話になっているランドスケープデザイナーの鈴木綾氏について

令和2年の8月11日、会に参加してくださっている小平井戸の会の代表・金子氏より、ランドスケープデザイナーの鈴木綾(りょう)氏をご紹介いただきました。それ以来、同氏には大変お世話になっています。

公園に関する理解を深めるためのレクチャーから始め、公園の整備計画案の取りまとめ、考える会の運営、アンケート調査、ワークショップ、市との調整など、すべての場面において、中心的な立場で活動してくださっています。いずれも高い専門性が要求され、時間や労力のかかることばかりですが、すべて手弁当でしてくださっています。

また、道場関係者の柴田勝之氏にも大変お世話になっています。会が始まる前からの市との大変な交渉もされてきて(詳しくは[経緯]をご参照ください)、会が始まってからも、すべての進行を支えてくださっています。お二人とも小平市民ではないのですが、ここまで尽力してくださり、頭が下がる思いでいます。

鈴木氏は、ランドスケープ経営研究会という研究会の幹事もされ、パークファンド部会研究部会の部会長もされています。この会のホームページを拝見すると、鈴木氏がいつも会でお話しくださる「これからの公園のあり方」等について理解がさらに深まりました。

(平成29年)6月に行われた都市公園法の改正を受け、新たな時代の緑とオープンスペースにおけるビジネスモデルを構築することをミッションとし、緑とオープンスペースの経営と事業のあり方、すなわち「ランドスケープ経営」に関心のある企業、団体、個人を募り、Park-PFI をはじめとする公民連携方策の技術・情報交流、研究・提言を行うことを目的としています。今回の法改正で創設されたPark-PFI は、対象となる収益施設と広場等について、民間事業者のコンソーシアム等が設計・施工・管理運営を行い、市民にサービスを提供し利用料収入を得ます。このため、収益施設のビジネスを得意とする民間事業者の方々と、公園をはじめとする公共の造園/ランドスケープに関わる我々の業界が集結することによって、多様な主体の協働による新たなまちづくりへの取組みを行うものです。

ランドスケープ経営研究会・会長挨拶より抜粋

公園は、全国に約10万か所、面積約12万ヘクタールのストック形成がなされた一方、地方公共団体の厳しい財政事情の下でもストックを保ち、急速な老朽化が進行する公園施設を適切に維持管理し、リニューアルを進めていかなければならないという難題に直面しています。また、公園への一部の苦情等から、利用制限により対応する状況が発生しています。 公園ばかりでなく、空き家、空き地、シャッター商店街など、まち全体が疲弊した状況があり、この中には民有緑地や生産緑地も含まれます。
このような中、都市公園法が改正(平成29年6月施行)され、都市公園に民間の優良な投資を誘導し、公園管理者の財政負担を軽減しつつ、都市公園の質の向上、公園利用者の利便の向上を図る新たな整備・管理手法である「公募設置管理制度」(Park-PFI)が新たに設けられました。また、保育所等の社会福祉施設(通所利用)が、都市公園の占用対象に追加されました。 また同時に、都市緑地法が改正され、空き地活用等を想定し、NPO、まちづくり会社等の民間主体が、市区町村長による認定を受け、オープンアクセスの市民緑地を設置・管理することが可能になりました。また、生産緑地法も改正され、直売所、農家レストラン等の設置が可能になりました。 これらの新しい制度を活用しながら、社会の課題を解決していく主体は、「従来の公共」から「多様な主体による協働」体制へと変化してきています。

ランドスケープ経営研究会・背景より

新たなステージの緑とオープンスペースは、ストック効果をより高めるため、民との連携を加速し、都市公園をより一層柔軟に使いこなすことが必要とされています。このため、緑とオープンスペースの再整備・管理運営を、公民連携によりマネジメント=「経営」することによって進める仕組みにシフトしていくことになります。
緑とオープンスペースの経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)は、従来考えられてきた公園等の区域や事業の範囲にとどまらず、まちとコミュニティ全体を変えていくポテンシャルを持っています。緑とオープンスペースは、その空間という器に、どのような使われ方・プログラム(収益施設を含む)を載せていくかによって、その魅力やまちづくり効果が大きく変わります。このため、幅広い経営資源を活かすことを考えるとともに、空間を使いこなすためアクティビティを生むプログラムを導入し、市民や来訪者の心地良い居場所をつくるための場所(Place)のデザインが必要であるといえます。このような場所性に関する計画デザイン技術は、地域の歴史文化、自然環境や景観などから読み解き、地域に根差した愛着の継承を行ってきた従来からのランドスケープ技術を基盤とすることで、より地に足の着いた固有性の高いものとなります。
私たちは、緑とオープンスペースの経営において、行政、民間、地域・市民の目標共有を可能とするランドスケープからの発案が、人々の笑顔にあふれ元気で美しいまちづくりに貢献するものでありたいと考えます。そして私たちは、緑とオープンスペースの経営と事業のあり方、すなわちランドスケープ経営に取り組むことにより、緑とオープンスペースがまちづくりのハブになり、コミュニティを持続的に支えていく大きな力になると確信し、ここに「ランドスケープ経営研究会」を設立します。

ランドスケープ経営研究会・設立趣旨より

また、令和3年12月15日には、ランドスケープ経営研究会より、「あたらしい生活の様式とみどりの処方」というパンフレットが刊行されています。[コチラ]よりご覧いただけます。
パンフレット紹介文は次のとおりです。

コロナ禍をきっかけにさまざまな社会課題が顕在化する中、みどりの持つ多様な機能が再確認され、「ニューノーマル」とも呼ばれるコロナ後の新たな生活様式において、みどりはまちづくりの基盤として総合的かつ効果的な処方となりえます。
 健康、教育、経済、それらを総合した場面におけるみどりの処方をその背景とともにメニューを提言しています。

ランドスケープ経営研究会・活動アーカイブより

このパンフレットには、今回市に提出した整備案のベースにもなっている重要な視点が示されています。皆様もぜひ一度ご覧ください。